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BBSメイル・ゲーム…プレイボード
[5]4:2009/09/27(日) 23:27:40 ID:CdSIQnlQ0
>>4
の続き。
しばらくの間、外の風が窓を揺らす音だけが部屋に鳴り響く。長い沈黙の後、フリストは口は開いた。
「……フリストラル家の当主夫妻がラステロニクの祭典に向かう道中、何者かに襲われて命を失ったという話を聞いてしばらく経つが、なぜ今になってそのような考えを思いついた。誰の入れ知恵だ?」
雇い主とはいえ、相手にそう断言されてクルーヴァは顔を強張らせが、すぐには言い返さず、深く息を吐いてから応えた。
「……おとついだったかな?酒場で飲んでいると、あまり見かけない奴が近づいてきて、オレにしたんですよ。旦那あんたは惜しい、私ならこうすると、てな感じでね」
「お前はそんな怪しげな奴の話に乗せられるのか?」
「卿、オレは何も傭兵団の団長なんぞになりたかったんじゃねえ、一国の主になりたかったんだ!そのためだったら、多少くらい危ない橋は通るし、今度の機会をのがしたらもう無え気がするんだ」
顔をフリストから逸らしながらクルーヴァはそう告げた。両手で抱えた杯が細かく震えているのを見つめながらフリストは静かに言った。
「……クルーヴァ、お前は今までいろいろわが家のために仕事をこなしてくれた。だから多少の無理ならお前に協力してやっても構わないと思っていた。だが、今回の件に関してシュレム家は一切関与しない。また、そのような行動を行った場合、お前を解雇することになる」
その言葉に顔をあげたクルーヴァに向かって、フリストは言葉を続けた。
「しかし、フリストラル家の現当主がビルトフォーフェの関与を要請しようとしている話も耳に入っている今、何も手を出さずにおくのは後々のためにならない、と私個人は思う」
「従って、お前が領主の地位を得た後に我が家と主従関係を結ぶというのなら、個人的にだが幾らかの資金と情報を提供しよう。どうする、クルーヴァ?」
話を聞き終えたクルーヴァは椅子から立ち上がり、杯をテーブルの上に置いた後、フリストの足元に膝をつき頭を垂れ、感謝の言葉を告げた。顔に深い笑みを浮かべながら。
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